荷造りを終え、お迎えのタクシーを待つ。
義姉が空港まで一緒に行ってくれることになっていたが、
義母とはここでお別れ。
約10年前に初めてあった頃は、ゲートボールを楽しみ、
おいしい手料理もたくさん作ってくれた義母。
ブラジルで二女を出産したときには、サンパウロからマリンガまで
手伝いに来てくれるほど、元気だった。
しかし患った難病は、目に見える形で進行している。
室内の移動はできるが、いつ転んでもおかくしくない。
幸い記憶力や判断力など、精神面は以前と変わらずしっかりしているので、
自分でも絶対転ばないように気をつけてるよと笑う義母。
義母のためにも、絶対にまた近いうちに子ども達をブラジルに連れてこなければ。
この旅行中に、あらためて義母の移民人生を聞かせてもらった。
義母には、日本で生まれた4人の兄姉がいたが、
そのうち、一緒に移民船に乗れたのが2人。
日本に残された2人の兄姉の消息も、正確にはわからない。
ブラジルで一緒に育った兄弟姉妹も、他界した。
義母も50代には出稼ぎで日本に働きに行っていたそうだが、
もう2度とは行かれないねと、寂しそうにつぶやいた。
2005年に、「
ハルとナツ」というブラジル移民をテーマにした橋田寿賀子のNHKドラマがあったが、
まさにそんな人生を義母が送り、同じように多くの日系移民が送ってきたのだ。
苦労を重ねてきた義母には、これから穏やかに幸せに過ごしてもらいたい。
ソファに座ったままの義母に見送られ、空港に向かう。
時間にも余裕があり、チェックインも問題なし。
義姉が夕食とおやつをかねて、たくさんサウガード(軽食)やパネトネ(クリスマス時期に食べるケーキ)を持たせてくれる。
最後の最後まで、姉が付いていてくれて、本当に心強かった。
ゲートに入り、長男と2人きりになったとき。
本当に寂しくて、泣きそうな気分。
でもここで気合を入れなおし、まずは10時間のNYまでのフライト。
長男もご機嫌よく過ごしてくれた。
泣き喚くこともなく、着陸態勢に入って全員座席に座っている時。
長男のおしりからあの大音量が。
とともに、なんだか膝元に違和感が・・・。
うっそ・・・もれてる...。
こまめにトイレにも連れて行ってオムツ替えてたのに。
着陸10分前に。しかも私のズボン汚すまで。
ベルト着用のサインが点いているので、トイレにも行けず。
まさに途方にくれていたとき、
ちょうど斜め前に座っていたCAが、異変に気づいてくれた。
私が座っていた席は、ちょうど機内の中央あたりで、
離着陸時だけ座るCAと、向かい合わせになっていたのだ。
CAはさっと立ち上がり、トイレから大量のタオルペーパーをわしづかみにして、
私にどばっと手渡した。
とりあえず応急処置的に、長男のおしりを押さえ、私の汚れた膝のみを拭く。
それ以上のことは何もできないので、とにかく早く着陸してくれと願う。
と同時に、このただならぬ香りが周囲の皆様に届かぬようにと、願う。
着陸後、ベルト着用のサインが消えた瞬間、トイレにGO。
手早くおむつ交換と着替えをし、先ほど助けてくれたCAにお礼を言って飛行機を出る。
はー。やれやれ。
最後の最後、あと10分だったのに。
しかも私の服を汚されるのは想定外。
なんとか拭き拭きして、汚れを落として沖縄まで我慢することとする。
乗り継ぎの際に、一度荷物を受け取るので、そのときにスーツーケースを開き、
長男の着替えとオムツを補充。
先ほど大量に出たので、きっとこの後沖縄まではウ〇はないだろう。
そう予測して、必要最低限の着替えとオムツ数枚だけを取り出し、
再度スーツケースを預ける。
しかし、この読みは甘かった。
NYから成田まで。14時間のフライト。
お隣の席に、長男と同じ生後3ヵ月の赤ちゃんが一緒。
英国紳士のご主人と、日本人の奥さんは、赤ちゃんを連れての初めての旅との事。
お互いオムツを替えたり、おっぱいをあげたり。
ベビーベッドも二つ並べて、おネンネしている時間も多かったが。
ウチの長男、なぜかトイレが多い。
しかも、さきほど大量に出たはずなのに、トイレに行くたびに、ウ〇。
そして何度かお洋服も汚してしまう。
着替えとオムツは最低限しか用意していないので、気が気でない。
とにかく汚さないようにと、きちっとオムツをあて、こまめにトイレにいくも、
何度も大きな爆発音を響かせている。
最後にはお隣の英国紳士もこちらを向いて苦笑い。
「お互いご苦労様です~」
という顔で返事をし、最後の最後までトイレ通い。
思い起こせば、サンパウロの義母宅でやった「おしりこちょこちょ」の効き目?
オムツも激減し、成田空港で買い足すことを決意。
そんなこんなで14時間のフライトを終え、
乗り換えの手続きをしながら、オムツを探す。
私のイメージでは、すぐに売店があって手に入れられると思っていたのだが、
国内線のゲートに入るまでのルートにはたまたま店がなく。
ま、ゲートに入ってからも売店があるだろうからと、楽観的にゲートインしたら、
もうそこにはお土産や軽食を売ってる店しかない。
しまった。
と思ったが、もう遅い。
オムツは全くないわけじゃなく、あと一枚はある。
沖縄までの約3時間。
ウ〇さえなければ、きっと大丈夫。
ただ、沖縄到着時に、すぐに手に入れたいので、
成田から家族に電話。
「悪いけど、オムツ持ってきて!」と依頼。
冷静に考えれば、スーツケースにもまだ残っているので
荷物を受け取ったら問題ないはずなのだが、
極度の不安感からか、とにかく「沖縄に着けばオムツがある」という
確信が欲しかったのだろう。
成田から沖縄までの、この旅最後のフライト。
機内も空いていて、それだけで開放感。
また、国内線なので日本人のCAさんがまるで家族のように見える。
あ~。日本に帰ってきたんだー。
たった一週間なのに、なんともいえない安心感。
3時間のフライトは、あっという間。
CAさんに最後に機内で記念撮影をしてもらったが、
どうしてももう一枚、カメラに収めておきたい場所があった。
それがこちら↓。
失礼。機内のトイレ。
オムツ替え台があるだけで、本当にありがたかった。
最後のオムツで、最後のオムツ替えをして、感謝の記念撮影♪
どのフライトでも、何度もお世話になったオムツ替え台。
実は今回、機内だけでなく、行くところどころのオムツ替え台を記録に残した。
←NYニューアーク空港。
非常にシンプルな台のみ。ベルトやクッション等なし。
←成田空港。
トイレとオムツ交換台が同じ空間にあると、ママ助かる。
ブラジルやアメリカでは、あまりこのタイプない。
変な趣味でこの写真を集めたわけじゃないのだが。
母子2人旅だったので、長男の写真を撮るのもひと苦労。
というわけで、オムツ替えるときだけがシャッターチャンスだったので・・・。
11月23日(土)夜9時すぎ。
沖縄那覇空港に無事到着。
パパと子どもたち、おばあちゃんが迎えてくれた。
ただいま~。
あっという間の、一週間。
めっちゃ濃かった、一週間。
きっと二度とは味わえない緊張感と、使命感を持って臨んだ旅。
生後3ヵ月で、この過酷な旅を元気に楽しんで?くれた長男にまず感謝。
そして沖縄で待っててくれた家族に感謝。
また強硬スケジュールにあわせてくれた、ブラジルの皆さんに感謝。
そして、FBやブログを通して、旅の無事を祈ってくれた皆さんに、心から感謝。
これからも、きっとまたブラジルへ行くだろう。
できる限り、家族みんなでいけたら、というのが本音。
それにしても、やっぱ遠いな~。
Viva BRASIL!!
~おしまい~